ブラック企業を脱するために

働き方、考え方、ブラック企業の見分け方、感じたことを書き綴っていきます

そもそも「ブラック企業」とは

ブラック企業を脱するために」としてブログを始め、私自身の経験が悩んだり苦労したりしている誰かの、少しでもお役に立てればと思い、どんなことを書けばいいだろうと常に頭の中にあるが、そもそも「ブラック企業」とは何かを考えなければならない。

ブラック企業」とは

ブラック企業」という言葉は、今や一般的な言葉として使用されているが、いざ自分自身でも考えてみた場合、明確な基準とはなんだろうと感じた。

実際にgoogleで「ブラック企業 定義」と検索してみると、厚生労働省のページが表示され、以下のように記載されている。

厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
このような企業に就職してしまった場合の対応としては、第一義的には会社に対して問題点の改善を求めていくことが考えられます。しかしながら、新入社員が単独で会社に問題点の改善を求めて交渉等をするのは現実的には非常に難しいと考えられます。したがって、問題点に応じて、外部の関係機関労働組合に相談することも有効な手段と考えられます。

長時間労働」「ノルマ」「賃金不払残業」「パワハラ」「低いコンプライアンス意識」「こうした状況下で労働者に対し過度の選別を行う」

確かに、読んでみるとブラック企業に当てはまる項目だと思う。

しかしながら、実際に企業の中で仕事をしていると、これに当てはまらずとも「うちはブラックだよねー」という声は非常に多いものである。

ブラック企業」とは、働く社員がそう感じているか

私自身、複数の企業で管理職を経験し、明らかなブラック企業で務めて非常に感じたことは、ブラック企業とは、働いている社員の方がそう感じていれば、十分にその可能性を秘めているということだった。

自分自身が働きながら「うちはブラック企業だよな」と思っていても、実際にはそういうこともなく、なんとなく頭の中では「そうではない」と理解していれば、それはブラック企業でないかもしれない。(もちろん明らかな法令違反などがないということが前提だが)

ただし、どう考えても解決できない問題があり、それを誰も解決してくれない。(またはできない)という状況が発生している状態であれば、私はその会社がブラック企業の「予備軍」と言ってもいいのではないかと感じる。または、すでにブラック企業だと言っても過言ではないかもしれない。

逆に長時間勤務をしていても、自分自身のためになると頭の中で理解しており、学びながら自身の成長と日々の仕事がしっかりと紐付いていれば、「ブラック企業」に当てはまるような条件下で仕事をしていても、決してブラック企業と感じることはない。(ただし、それを押し付けることにより、働き手がストレスを感じていなければ)

ブラック企業」は社会からなくなった方がいい

決して「いいことをしていればブラックではない」と言っているわけではない。

私自身、ブラック企業で管理職をした経験を通して感じたことは、やはりブラック企業は社会から無くなった方がいいと、本当に感じた。ただし、管理職として私がチャレンジしたことは、会社を潰すなどということではなく、良い会社に変化させ、一生懸命に働いている社員の方々が、幸せになれるようにと精一杯に努力してきたつもりである。

企業は本来、働き手である従業員、買い手であるお客様、地域や社会に対して、全てにおいて優れた活動をしなければならない。

実際に事業の運営の中では、良いこともあれば、悪いこともある。それでも、全てにおいて優れた活動をしなければならない。

ブラック企業」は潰れてしまえば、もちろん社会からなくなるが、方法はそれだけでなく、経営者の交代など、様々な方法で世の中からなくなることはできる。働き手である従業員の方々が、いっせいに別の企業に転職してしまえば(または退職すれば)、その企業はなくなってしまう。

実際に働いている人は「嫌なら辞める」などとシンプルに考えきれない

悪い(劣悪な)環境下で仕事をしながら、時には社員の方に転職をそれとなく推薦することもあれば、そのお手伝いを実際に行った経験もある。

しかし、実際に嫌だからという理由で「転職」や「退職」とシンプルに決断できる方は、多くはなく非常に大きなストレスや不安を感じながらも、精一杯努力している方が多いと感じる。

これは、私がいた企業に関わらず、きっとその他のブラック企業でもそうではないかと思っていることである。とても辛い環境の中で働き、時にストレスに押しつぶされそうになり、時に裏切られ、時に将来の不安に眠れず。

そんな大変な日々を送っているにも関わらず、「どこかで今の会社が変わってくれれば」という期待を持っていたり、「誰かが会社を変えてくれる」という希望を持っていたり、退職後の不安が大きく、行動する勇気が持てなかったり。

そういう気持ちを持っているからこそ、辛い環境の中でも必死に仕事をして日々、お客様や自分の仕事に向き合っている。本当にそういう方は多く、優しかったり、弱かったり、孤立していたりと、そんな環境だと感じた。

表面上では「ブラック企業」ということは、簡単に見抜けないケースもある

様々な思いから、辛い環境の中でも一生懸命に仕事をしている方が多いブラック企業では、ユーザーの立場からはブラック企業と見抜けないケースが非常に多いと感じる。なぜなら、色々な悩みを持ちながらも、そこで働く社員の方々は必死に自分の仕事をしている。

実際にお客様の立場としてその会社と接していれば、「良い会社」だと感じてしまうのである。それは、そうした「悩みを持ちながらも一生懸命に自分の仕事を全うしている社員」の方々にサービスを提供されているからであり、その企業の社長やオーナー、またはブラックたる所以の人にサービスを受けているわけではないケースが多いからである。

そのため、悩みを持った社員が、ふとしたきっかけでユーザーやクライアントの方に、ちょっとした悩みを口にしても「いやいや、お宅は良い会社だよ」などと評価され、辛さを理解されずに、さらに辛くなってしまっていたりするのである。

もちろん、全てがそうとは言い切れないが、少なくともそういう状況は絶対にあると感じている。だから「入社前は良い会社だと思っていたのに、入社したらブラック企業だった」という方もいるのではないかと感じることもある。

ブラック企業で働く方は、なかなか友人にも相談できないケースが多い

自らの力で、辛い環境を脱することができる方は、周囲に相談できる友人や仲間がいたり、自分自身の力で別の会社に転職したりと、その辛い環境から抜け出すことができる。しかしながら、ブラック企業で長く勤めていれば、なかなか愚痴を聞いてくれるような友人がいなかったり、いたとしても一緒に遊ぶ時間がなかったり。

さらには、自分の仕事を一生懸命に全うする方であれば、懇意にしてくださっているお客様にもそういう雰囲気を察していただくことはない。

勤務時間が長くプライベートがない場合は当然だが、休みがあっても辛くリフレッシュする気分になれず、自宅でゆっくりしてしまう習慣がついてしまえば、そもそも友人と言える関係性の仲間がいるのか不安にもなってしまうというケースも非常に多く存在する。

また、人が良ければ良いほど「友人には自分の愚痴を聞かせるなんて」と、そんな箇所にまでサービスが行き渡っている方もいる...

そもそも、辛いのに「楽しく遊ぼう」と割り切れないという方も非常に多い。年を重ねて、そうした相談を持ち出すのを恥ずかしく感じるケースもある。

なかなか見抜けない「ブラック企業

明らかなブラック企業は、当然のことながらわかりやすいかもしれないが、きっと世の中に存在する多くのブラック企業は、きっと様々な状況の中で、簡単に見抜けない状態になってしまっているケースが多いと思うが、それでもちょっと見方を変えれば「気づくようなポイント」も多く存在する。

私が経験したことが、それを見抜く全てではないが、ブラック企業に就職してしまわないために、またはブラック企業で辛い思いをしている方は、その環境を去ることができるように、またブラック企業を変えようと思っている方は、それが実現できるように。

私の経験が、たった一人でもいいので、誰かの辛さを解決する手段になれば本当に幸せである。