ブラック企業を脱するために

働き方、考え方、ブラック企業の見分け方、感じたことを書き綴っていきます

2代目オーナーは会社を潰す?

私が在籍していたブラック企業は社長が二代目(創業者の息子)に代わり3年程度の企業で、懇意にしてくださるお客様から見ても「ブラック企業」だと認識されていた。

そのため、お客様からもよく「やっぱり二代目社長はダメだな」などと言われていたものである。

タイトルにあるように、2代目オーナーは会社を潰すという点について、私個人としての答えは「NO」だと思う。

なぜ2代目社長はダメだと言われるのか

私自身、本当によく「二代目はダメだな」と色々なお客様に言われながら、本当に二代目だからダメなのかと少しだけ考えたことがあり、「二代目社長」=「ダメ社長」的なイメージを持っている方は多い。

けれども、世の中に二代目でも非常に素晴らしい経営者はいるし、二代目になったことで素晴らしいという評価が拡大した企業もある。

そのことからも、決して二代目だからダメだということはない(と思う)。

しかし、私がいた会社で言えば、少なくとも二代目はダメだった。40年以上も続いた企業が二代目になり、長くお付き合いいただいている常連様からも「ダメだ」という意見が非常に多かった。

あくまで一例にすぎないが、その環境の中で言われていたことは、ほとんどのお客様から同じ意見だった。

お客様が来てくれることが当然な環境で育った

常連のお客様曰く「今の社長は小さなころから、会社にお客様が来ることが当然であり、お客様に煽てられて育ったため、お客様に感謝の気持ちが全くなく、若いくせに年配の私たちを小馬鹿にした態度をとる」ということだった。

それは、一人の常連様の意見でなく、複数のお客様から言われたことであり、長く勤めている従業員からもそう思われていた。

実際にそうだったのか、それとも喜びを表現することが極端に苦手だったのかは、今では確かめようもないが、ゼロからスタートした創業者とは大きく評判が異なっていた。

しかし、私がそうした話をした際に、従業員からも常連様からもそういう意見が出ているにもかかわらず、本人の耳にそうした状況が入っておらず初めてきいたような顔をしている姿を見たときは、まるで「裸の王様」を見ているような気がしたのを鮮明に記憶している。

その状態では「二代目だから」と言われてもしょうがないと感じるものである。

ただ、私はそれでも「二代目」=「会社を潰す」とは思っていない。

事業を継続することは非常に難しいこと

私がいた企業は創業から40年以上に渡って事業を継続している老舗企業だった。

変わりゆく時代の中で、事業を継続させることは至難の技だと思う。そうした環境の中で事業を創業者から引き継ぎ、多くの従業員の生活を見なければならない。

その企業では、二代目になる社長は就職をした経験がなく、社会に出るとともに家族経営の企業の役員となり、そのまま事業を引き継いだのである。

必ずしも企業勤めの経験がなければ経営者になれないかというと、最近の若い方を見ると決してそんなことはないと思う。ただし、人に圧倒的に慕われていない経営者が老舗の事業を引き継ぐのは、到底難しいことかもしれない。

それだけ事業の継続や引き継ぎは難しいものだと思う。

問題は二代目ではなく、引き継ぎや教育ができなかった側

必ず無理だとは私も言えないが、長く続く老舗を社会に出たと同時に役員となり、右も左も分からないままに経営をしていくのは、ほぼ不可能と言っていいのではないか。

少なくとも人望は必要である。また能力がなくとも人に慕われ、企業として困難を乗り越える道もあれば、様々な方法でお客様に素晴らしいサービスを提供することは可能だと思う。

しかし、休みを出さず残業代も出さず、信頼を得ていないままに過酷な条件で働かせていては状況は悪化する一方である。

そうした環境に至ってしまったのは、しっかりとした教育や引き継ぎを怠った創業者にあるのではないかと感じる。

もちろん、だからといって法を犯した条件下で従業員を働かせてはならない。けれども「二代目」が会社を潰すのではなく、引き継ぐ前の経営者にも大きな問題があると思う。

どこかで誰かがしっかりと伝え、もっと早くに改善していれば、こんなに多くの方に苦しませることがなかったのにと考える。そう思えば、社長だけが悪いわけではない。

様々な環境が重なって生まれた「ブラック企業」というものがあるのだと思ったものだ。

 

もしも、今現在ブラック企業に勤めて苦しんでいる方がいらっしゃれば、前回書いたように「良い妄想」をしてみるのもオススメだが、退職する前に客観的に今の状況を見てみれば、何か参考になることが一つくらいはあるかもしれない。

いずれにせよ、早く明るい先が見えることを祈っています。