ブラック企業を脱するために

働き方、考え方、ブラック企業の見分け方、感じたことを書き綴っていきます

ブラック企業は早く辞めた方がいい -ぬるま湯に浸かっていると慣れてしまう-

前回の記事では、「良い妄想」をして早くブラック企業を去る方がいいということを書かせていただいた。

go-white.hatenablog.com

私個人として、ブラック企業に在籍してしまった場合、本当に「辞めた方がいい」と思っている。そのブラック企業で「いつしか会社が変わらないか」と期待していて、必ずしも会社が変わるとは限らない。

もちろん、会社を変えようと努力して色々と実施してみるのも、ひとつの選択肢である。それを働いた本人が「やりたいこと」であれば、その意味は十二分にあると思うし貴重な体験にも繋がると思う。

けれども、本来就職する時に「会社を変える」ということが目的でなく、何か「やりたいこと」や「実現したいこと」があって働きたいと思うのである。その目的をしっかりと達成できるように行動することも一つの良い選択肢だと思う。だからこそ、辞めることができるのであれば、辞めた方が良い。

また、同時にブラック企業に居て感じたことがある。

ぬるま湯に浸かっていると、意識していないのにぬるま湯に慣れてしまう

私が、とあるブラック企業に就職してしまった際、最初にその企業の従業員に言われた言葉は、「一生懸命やっても意味のない会社だから、適当がいいよ」という言葉だ。

私にその言葉をかけてくださった方が、本当に私を思って言ってくれた言葉である。

けれど、その言葉をユーザーであるお客様が聞いたら、そんな場所でサービスにお金を払おうと思うだろうか。

こうした根本的なところが欠如してしまっているのである。

その方自身も、もちろんお客様のために一生懸命になっていた方である。(すでに退職した方なので過去形にしているが)にも関わらず、一緒にサービスを提供する方には「適当がいいよ」と。

その理由はもちろん、企業側にあって「まともな評価制度」も存在しなければ「キャリアパス」なんていう概念すらない。だけど、働いている側も、いつの間にか、それを変えることは無駄な労力となってしまい、考えることを放棄してしまうのである。

自分が一生懸命働いて稼いでも、そのお金は結局経営陣が儲かるだけ。
そんな風に思っていれば、それでも頑張れというのは、非常に困難なのは当然だと思う。そう思っているうちに、徐々に働いている方自身も、新人を育てるということよりも、怒られずに楽に出来る方法を探してしまうのだった。

これは、あくまで一つの例であって、全てに当てはまるとは言えないかもしれない。

豊かになれない環境で成長することを考えるのは難しいこと

ひとつの例として「適当がいいよ」という、優しいお声がけを出させていただいたが、一生懸命に働いても、それが自分の豊かさに繋がらないと分かっていて頑張ることは、誰でも非常に難しいことだと思う。

そうして、辛い環境の中で耐える方法を意識せずに身に着けている方が、非常に多い環境だったが、改めて考えると「お客様に対して、更に良いサービスを考える」などという意識を持っていない方(または、そういうことを考えること自体を放棄した方)は、意外と多い状態だった。

あくまで、そういう方々を責めている訳ではなく、そういう風に思っていなければ、辛い思いをしてしまうのだ。誰に言っても改善してくれるわけではなく、これまでに色々と努力をしたにも関わらず、それが報われることがなかった。

沢山辛い思いをした経験が、いつの間にか「傷つかない」方法を取る事に変わってしまった。という方は、ブラック企業の中では、きっと多いのではないかと思う。

ぬるま湯と表現してしまうのは誤っているかもしれない

そういう辛い経験をして、傷つかない方法を取っている方を目の前にして、「ぬるま湯」という表現は、あまりに残酷かもしれない。

けれど、本来仕事はお客様に良いサービスを提供することを考えなければならないし、働いているスタッフの幸福の事などを考えて行かなければならない。理想論に聞こえてしまうかもしれないが、そうした日々の仕事の努力が、お客様のためになり、自分の豊かさや、周囲の幸福と紐づくからこそ、多くの場合は努力が出来るのだと思う。

私もスタッフと面談しながら「今あなたが考えていること」が、優良な企業ではありえない考え方ではないかという点について、やり取りをしていると、多くの方は気づいてくれた。

慣れとは非常に恐ろしいもの

「ぬるま湯に浸かっていると慣れてしまう」と実感したのは、何より私自身である。そうした環境に居ることで「言ったところで変わらない」と、意識もしていないのにそういう考えを持つ習慣がついてきたのである。

何よりスタッフの将来をしっかり考えたいと、表向きに思っていても、どこかで「それは出来っこない」ことであるから、スタッフが楽なこと楽なこと。を選択していても「しょうがない」と感じるようになっていたのである。

いつしか指導をするときに「この会社での活躍よりも、転職した先で活躍できる能力」を考えて指導することが当然になっていた。

辛い環境の中で、一生懸命に前向きに働くスタッフが徐々に「お客様のサービス」のために頭を使うことより「自分が辛くならない方法」を考え、後ろ向きな姿勢に変わる姿を見ることは本当に辛いものだ。

けれど、そんな姿を目の当たりにして具体的行動がとれずに居る自分に気づいたのだ。とても一生懸命だったスタッフの一人が退職したのを機に「慣れてしまう」ことの恐ろしさを非常に痛感した。

居酒屋で最後に一緒に話し、お互いに涙し、本当はこんなことで悩みたいわけではないのに。と、会社の経営陣に対して涙した姿は今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。

そのスタッフ自身も、ブラック企業の環境に慣れることを避けて、自ら新しい場所に移ったのである。

自分が慣れてしまっていることに気づいてみよう

悪い環境の中で仕事をしていれば、いつしか「傷つかない」方法をとるのは、当たり前のことだと思う。けれども企業はお客様にサービスを提供して、その対価をいただいて成り立っている。そのため、お客様により良いサービスを提供しながら、働き手の成長や幸せのために活動しなければならない。

ブラック企業に勤めている場合、たまには原点に帰って「自分が慣れてしまっている」ということを客観的に見てみると、やりたいことが出来る環境を探したくなるかもしれない。